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農家を支える日々のなりわい

アイロンが普及していないので、囲炉裏の熾(おき)を使った炭火アイロンが主流であった。普段、ズボンは寝押であった。畳みの目がズボンに付いているのは、家庭のしつけが行き届いていると見られた。電気アイロンが登場するまでは「寝押し」が中心であった。

ねおし

寝押し
動物や植物との関わり

正式名はショウリョバッタ(精霊ばった)。バッタはトノサマバッタとネギサマバッタは区別していたがその他は知らない。「禰宜様バッタ」は捕まえると頭を何度も上げ下げることから「米つきバッタ」とも言われた。八溝では神職全般を「禰宜様」といって、宮司と区別する職階の意識はない。バッタの頭が神職の冠に似て尖っているからの命名であろう。追いかけると「キチキチ」と羽音を出したことから「キチキチバッタ」とも言った。

ねぎさまばった

禰宜様ばった
子どもの世界と遊び

「ねこだま」はリュウノヒゲの実こと。庭先にたくさんあり、秋になると青紫の丸い実がなる。猫玉の由来は分からない。鉄砲は篠竹で水鉄砲のようなものであった。鉄砲はどのくらい飛んだかは覚えていない。また、杉の実を潰して詰めて飛ばす「杉の実鉄砲」も作った。何でも手作りであった。おもちゃは買わなくても、先人の教えの財産があった。

ねこだまてっぽう

猫玉鉄砲
子どもの世界と遊び

寝起きの悪い人の蔑称。農家では、朝飯前に家畜の世話や温床(おんどこ:苗床)の水やりなどさまざまな仕事がある。「ねんごんぼ」は一番嫌がられる。みんな早起きであったから学校に遅れるという子はいなかった。後年登山をするようになって、寝起きの良さがどんなに役立ったか。子どもの頃の習慣が身に付いていたものである。

ねごんぼ

寝ごんぼ
感情を表すことば

ひねくれること。「ねじれる」の転訛したもの。物が「ねじくれる」とは言わず、性格的に「ねじぐれ」ることに使った。少しのことでも人間関係が気に入らないことがあると、心が「ねじぐれ」て、ふてくされる人がいる。

ねじぐれる

生活の基本 衣と食と住

子どもなど人を寝せることではない。納豆を発酵させることである。秋から冬になると、田の畔(くろ)で出来た「くろまめ(大豆)」を茹でて、藁のつとっこに入れ、土の中に「寝かせる」と、藁に付着した納豆菌が自然に発酵して、粘りの強い糸引き納豆が出来た。工場で人工的の納豆菌まぶしてつくる物とは違い、糸引きは悪いが、大豆と藁の臭いが混じったいて格別な味であった。

ねせる

寝せる
農家を支える日々のなりわい

粘りつくことからの命名。八溝の地質では粘土が出る場所は多くない。集落の中で1箇所、河岸段丘の急崖から「ねばつち」が採れた。シャンプーが普及する前は、女性たちはシャンプーの代わりに粘土を使った。どんなふうに使ったかは分からない。男の子たちは短髪であるからシャンプーは不要であった。最近は粘土を素材とするシャンプーが利用されているという。自然回帰であろう。

ねばつち

粘土
農家を支える日々のなりわい

寝ないで泣いている子供を、無理にでも寝せつけるようにする時に使う。伏せるは、「大根を伏せる」というように、土の中に横にするすることも言う。語源は共通するのであろう。親が子供を寝伏せるだけでなく、夫婦間でも父ちゃんが母ちゃんに「早くしろ」と言って寝床に呼んで「寝伏せる」のである。無理に寝せつけたかどうかは知らない。

ねぷせる

寝伏せる
生活の基本 衣と食と住

炭で完全に炭化していないもの。コタツに入れると炭から煙が出ることがある。炭焼きさんから特別に不良品として安く買ったものであろう。語源は分からない。コタツに入っていた猫も、煙で思わず飛び出してくる。

ねぼい

感情を表すことば

眠いこと。「nemui」は母音が続く「連母音」であるから、発音する時は1音が脱落す。「ねみー」ことが我慢できず、明日起きてからやるかと、宿題をせずに寝てしまって、結局なにもやらずに学校に行くことになった。

ねみ(ー)

生活の基本 衣と食と住

子守り用の綿入れ半纏。兄弟でも下の方になると襟が涎(よだれ)でぺかぺかになってしまっている。冬の商工祭には呉服屋の前には綿入れ半纏がメーンで並んでいて、その中には「ねんねこ半纏」もあった。それだけに多くの人に利用されていたのであろう。我が家では一人ひとりの半纏も「ねんねこ半纏」も婆ちゃんの手作りであった。

ねんねこばんてん

ねんねこ半纏
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